「部下育成」の不安を解消する
科学的OJT術
「あとは、君なりに頑張ってみてくれ」と言った後、「本当に、これで育つのだろうか…?」と不安になったことはありませんか?
手取り足取り教える時間はない。しかし、丸投げしても育つ気配はない。難しい案件を任せれば心を折り、簡単な仕事ばかりでは成長しない。
この記事では、「運任せの育成」から「科学的な育成」へと変える具体的な技術をご紹介します。
OJTが失敗する
たった一つの理由
丸投げ地獄
「俺の背中を見て育て」とばかりに、泳ぎ方も知らない新人を太平洋のど真ん中に放り込むような育成法。大多数は自信を失い、静かに去っていきます。
過保護天国
部下の失敗を恐れるあまり、問題が起きる前にすべて先回りして解決してしまう。いつまで経っても独り立ちできず、「指示待ち人間」が完成します。
この両極端な失敗に共通するのは、部下のスキルレベルに対して、与える仕事の「
難易度
」が全く見合っていないという点です。
心理学者アトキンソン氏の研究によると、人間の挑戦意欲が最も高まるのは「
成功確率が50%の課題
」に直面した時です。つまり「2回挑戦すれば、1回はうまくいく」くらいの絶妙な難しさが、成長を最大化するのです。
OJTの本質は
「観察」と「チューニング」
マネージャーに求められるのが、「観察力」と「チューニング(微調整)能力」です。部下の仕事ぶりを注意深く観察し、難易度を調整していくのです。
観察する
部下の表情や進捗状況から、今の仕事が「簡単すぎる」か「難しすぎる」かを見極めます。
チューニングする
簡単すぎれば難易度を上げ、難しすぎればサポートを入れて調整します。
成長を促進
「成功確率50%」の絶妙なチャレンジが、部下の脳を"成長モード"に切り替えます。
経験から言えることは、「ただ経験年数を重ねるだけではスキルは上がらない」「ダメ出しや叱責は成長に全くインパクトがない」ということです。意図的に設計された「ちょうどいい難易度」の経験こそが、人を育てるのです。
究極の難易度調整術
「仕事の分解」
どんなに複雑な仕事も、複数の小さなタスクの集合体です。その仕事を小さな工程に「分解」し、それぞれの工程ごとにマネージャーの関与度を変えることで、最適な難易度に調整できます。
例えば「提案書作成」という仕事を以下のように分解します:
お客様の課題と要望を整理する(一緒にやる)
提案の全体像とストーリーを作る(たたき台を渡す)
各スライドのメッセージを考える(任せる)
スライドを作成する(難しい部分だけサポート)
プレゼンの練習をする(フィードバックする)
まずは、部下が苦戦している仕事を5つのステップに分解してみましょう。それだけで、どこを支援し、どこを任せるべきかの「OJT設計図」が見えてくるはずです。
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